西谷 啓治Keiji Nishitani
画像出典:燈影舎 世界史の理論
西谷は、現代世界における最大の問題、また自身の生涯にわたるもっとも切実な問題は「ニヒリズム」である、と言った。ニヒリズムは日本語で「虚無主義」と表されるが、それは特に19世紀以降の西洋において生じ世界に拡がった、通常の虚無感が、克服されうる宗教の次元に再び現れる、という虚無の問題のことである。西谷は西洋の哲学や神秘主義、そしてなによりも禅をはじめとする東洋思想や修行法(参禅)を手がかりにして、「ニヒリズムを通してのニヒリズムの超克」という課題に取り組んだ。西谷は古今東西の思想を深く研究した上で、「禅の立場」にもとづく独自の宗教哲学を展開した。また、西谷の哲学的貢献は幅広く、科学や技術の問題、芸術論、文化論、社会問題、諸宗教間の対話においても見られる。現在西谷の哲学は日本人のみでなく、多くの西洋人哲学者や宗教学者からも注目され、また近年ではアジア諸国の研究者の注目も集めつつある。
西谷のテキスト
A. 著作集
- 『西谷啓治著作集』 全26巻、創文社、1986-95年。
B. 主要な著作および論文 (著作集の巻数は括弧に記す)
- 『根源的主体性の哲学』 1940年 (第1巻)
- 『世界観と国家観』 1941年 (第4巻)
- 『神と絶対無』 1948年 (第7巻)
- 『ニヒリズム』 1949年 (第8巻)
- 『宗教とは何か』 1961年 (第10巻)
- 『西田幾多郎 ―その人と思想―』 1985年 (第9巻)
- 『禅の立場』 1986年 (第11巻)
- 『般若と理性』 1979年 (第13巻)
- 「空と即」 1982年 (第13巻)
C. 西谷との対話集
- 佐々木徹 『西谷啓治随聞』 法蔵館、1990年。
- 西谷啓治編 『思想のシンポジウム』 燈影舎、1985年。
- 西谷啓治編 『思想のシンポジウム(2)日本の思想風土』 燈影舎、1986年。
- 西谷啓治・八木誠一 『直接経験 ―西洋精神史と宗教』 春秋社、1989年。
- 西谷啓治・吉川幸次郎 『この永遠なるもの』 燈影舎、1985年。
- 伴一憲 『家郷を離れず ―西谷啓治先生特別講義―』 創文社、1998年。
D. その他
- 西谷啓治著 上田閑照編 『宗教と非宗教の間』 岩波書店、1996年。
- 「『近代の超克』私論」 河上徹太郎・竹内好ほか 『近代の超克』富山房、1979年
E. 翻訳 (著作のみ)
- Religion and Nothingness. Trans. Jan Van Bragt. Berkeley: University of California Press, 1982.
- Was ist Religion? Hrsg. Dora-Fischer-Barnicol. Frankfurt: Insel Verlag, 1986.
- The Self-Overcoming of Nihilism. Trans. Graham Parkes and Setsuko Aihara. Albany: SUNY Press, 1990.
- Nishida Kitarô. Trans. J. W. Heisig and Yamamoto Seisaku. Berkeley: University of California Press, 1991.
- La religion y nada. Trans. Raquel Bouso Garcia. Madrid: Ediciones Siruela, 1999.
西谷 啓治 略歴
- 1900
- 2月27日石川県に生まれる。
- -
- 第一高等学校を経て京都帝国大学文学部哲学科を卒業。
- 1937
- 1939年までドイツ留学。
- 1947
- 占領軍の政策により京大教授の職を退く。
- 1952
- 再任
- 1969
- 1970年まで米国テンプル大学客員教授として招聘される。同年勲二等瑞宝章受章。
- 1972
- 西ドイツのゲーテ・インスティトゥートよりゲーテ・メダルを授けられる。鈴木大拙によって創始された英文仏教思想誌『イースタン・ブディスト』の編集責任を引き受ける。
- 1990
- 11月24日逝去。
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