明治から昭和期の宗教哲学者。京都学派における宗教哲学が、主に禅を中心とした仏教からの影響を強く受けている中で、キリスト教を信仰し、自身の宗教体験を掘り下げて思索した波多野の思想は、京都学派の中でも極めて独自のものである。(「西田君のような学問は一夜漬けが出来るが、僕のはそれが出来ないよ」との言が月報にある。)波多野自身は、体験や実践を重視する発言を続けているが、彼の仕事は厳密な宗教史や哲学史であった。
波多野自身の思想は、時間の世界から永遠の世界に至る上昇運動に力点がおかれている。波多野によれば、人間は自然的生、文化的生、宗教的生と上昇する過程で、時間を克服する。宗教的生を生きることは「無からの創造」であると言われている。とりわけ大きな影響を波多野に与え続けたのはカント哲学であろう。また、神秘主義との近さが指摘される場合もあるが、彼自身は神秘主義の思想家を研究していたものの、扱いには慎重であった。
図書館 / 資料館 / 企業や個人所有などの史料や蔵書情報、また有志による研究会・翻刻などの活動について、情報をお持ちの方は、貴重な史料を長く後世に残すため情報提供のご協力をお願いいたします。ご連絡お待ちしております。
お寄せ頂いた情報は内容調査のうえ、本サイト編集部が直接取材に伺いインタビュー依頼する場合もございます。